遂に待ち望んだJ3開幕の日が訪れました。唯一J3は昨年の11月末・12月頭から時が止まっていたリーグですが、当初の予定より実に114日遅れでの開幕ということになりました。

さて、第1節マッチプレビューではピックアップマッチに「熊本vs鹿児島」を選びましたが、ピックアップを中心に今節の試合を簡単にではありますが振り返っていきましょう。


いわてグルージャ盛岡 0-4 ブラウブリッツ秋田

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FK

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※詳細なスタッツは後日更新予定です。

…完成度の差が大きく見えた一戦になった。明確な方針を持って試合に入った秋田がゴール前に顔を出すシーンが立ち上がりから続いた。27分、ゴールキックを跳ね返した最終ラインからのボールに前線のFW中村亮太が反応し抜け出す。DFの寄せが甘かったか、クロスを選択しそこに飛び込んだFW齋藤恵太が見事に決め先制に成功。岩手は前半の内から存在感を出せなかったMF佐々木を下げ新加入のブラジル人FWブレンネルを投入。若きブラジル人選手はフィジカルを武器に起点となろうとしたが、更に34分、再び中村が齋藤を走らせるボールを裏に蹴ると持ち前のスピードでDFを抜き去り冷静に流し込んで前半のうちに2点を先取。岩手は後半からベテランCB森下を投入し守備の安定を図るが、バックパスが選手に当たって中村(亮)の前に落ちそのままドリブルして流し込んだ。さらにその後も高卒ルーキーMF井上が出場早々J初ゴールを決めるなど質・結果共に文句なしの滑り出しとなったのはアウェー秋田。一方岩手の秋田監督の方には課題が山積だ。

J3マガジンMOM:No.9 FW中村 亮太 選手(秋田)




福島ユナイテッドFC 2-0 ヴァンラーレ八戸

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…応援の音声がスピーカーから流れるとうスタでの一戦はホームに軍配が上がった。何と言っても今日の試合で目覚ましい活躍を見せたのは福島のFWイスマイラ。188cmの長身から空中戦で強さを見せるのはもちろん、ミドルシュートを積極的に放っていくなど序盤から存在感を見せた中で22分、クロスに頭で合わせて先制弾を得た。昨季は緩慢なプレーも散見されたが献身的に走り回るなど成熟したプレーを見せた。前半終了間際には大卒ルーキーのSB吉田がCKからヘディング弾を叩き込んだ。八戸は昨季の3バックから4バックを主として、ショートパスを用いて前進を試みた。ハーフタイムで3枚を替えるなど後半も積極的に前へという姿勢が見られたが福島がきっちりと試合を締めた。

J3マガジンMOM:No.9 FWイスマイラ 選手(福島)




アスルクラロ沼津 2-1 藤枝MYFC

3

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2

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CK

3

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FK

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…開幕前の上位カテゴリ相手の練習試合でも攻撃に確かな手応えを感じていたであろう藤枝は両WBを起点に攻撃を組み立てるが、33分には”デカモリシ”森島が大外で起点となって中のレーンをスプリントする大石にスルーパス。逆のサイドを上がってきていた姫野をしっかり見ていた大石はそのまま横に流し、新加入のMF姫野がきっちり決めた。その後も藤枝ペースでゲームは進んだが77分、コーナーから藤嵜が押し込んで同点にすることに成功。期限付で加入した左SB安在のシュートが藤枝DFに当たりPKの判定になると、ベテラン尾崎がしっかり左に蹴り込んで逆転に成功した。今季も盤石の布陣で上位進出が予想される藤枝を相手に、昨季はライバルながらその後塵を拝した沼津が逆転勝ちを収めるという展開は早くも今年のJ3が面白くなる予感。

J3マガジンMOM:No.18 DF尾崎 瑛一郎 選手(沼津)




SC相模原 0-0 Y.S.C.C.横浜

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7

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…立ち上がりから攻勢をかけたのはアウェーのYS横浜。コーナーからチャンスを作るが決めきれず。すると16分、今度は相模原がコーナーからファーサイドから折り返したボールを10番FWホムロが強烈にヘッドで狙うがゴールラインでクリア。この日存在感を発揮したのはJ1横浜F・マリノスから育成型期限付移籍で加入した18歳のMF松永。右SHで開幕スタメンを勝ち取ると、こちらも新加入の大卒MF鹿沼の裏へのパスに反応し、サイドを駆け上がって折返す。その後もロングパスでチャンスを演出するなど、攻守にわたって動き続けた。星と清原、夛田と松田の両ワイドのコンビは相模原の武器になりそうだ。特に星(←福島)と夛田(←秋田)はJ3で実績があるだけに期待通りの働きだった。YS横浜は新加入のCB花房と池ヶ谷が2人ともにアクシデントでの交代となって難しかったが、しっかりと守備で粘って勝ち点1を得た。シュタルフ監督も敵地での1ポイントをポジティブに捉えているようだ。

J3マガジンMOM:No.24 MF松田 詠太郎 選手




FC岐阜 0-0 FC今治

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…Jリーグの「船出」となった今治。立ち上がりの11分、スローインを受けた元日本代表DF駒野がYS横浜から加入したDFチョン ハンチョルに合わせる見事なピンポイントクロスを送るがGK松本が弾き出した。38歳の大ベテランだが一級品の技術は未だ衰えを知らない。その後も秋田から加入した新守護神松本が堅くゴールを守る働きを見せた。岐阜は、練習試合からアピールしていたFW富樫やMF粟飯原がスタメンに名を連ね攻撃を作った。個で打開できるFW川西や途中から入った新加入のFW高崎など攻撃陣の能力は非常に高いが、守備陣の連携が求められるところだ。結局、終盤にかけて岐阜が押し込んだが勝ち点1を分け合う形となった。今治にとっては昨季J2の岐阜を相手に追い詰めるシーンもあり、アウェーで勝ち点1の獲得は上々の船出と言えるだろうか。

J3マガジンMOM:No.31 GK松本 拓也 選手(岐阜)




セレッソ大阪U-23 0-1 ガイナーレ鳥取

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…スタートのフォーメーションを3バックにしてFW山内の3CBの一角で起用してくるなど、中断期間中に作戦を練ってきたホームのセレッソでインパクトを残したのはMF島村。左WBのポジションから得意のドリブルで突破を見せ決定機に絡んだ。四中工から加入したセレッソユース出身の高卒FW田口もドリブルから見せ場を作った。個々の選手が持ち前のテクニックを生かしてゴールに迫ったがお互いに決定機を逸するなどして得点にはつながらない時間が多かったものの、鳥取は攻勢に出た終盤に大ベテランのFWフェルナンジーニョや琉球から加入しているFWハモンらを相次いで投入。すると88分、そのハモンのCKから田口が空いていたニアに叩き込んでJデビュー戦でのJ初ゴールは劇的な終了間際の先制弾となった。

J3マガジンMOM:No.17 FW田口 裕也 選手




【Pick Up Match】
ロアッソ熊本 3-2 鹿児島ユナイテッドFC

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…スタッツからご覧頂いたら、どちらが勝ったと思われるだろうか。シュート数やFKの数も鹿児島が圧倒しているが、結果・内容共にホーム熊本の圧勝に終わった。
今節最大のビッグマッチとしてピックアップマッチに選定させて頂いたが、今季J3のタイトルを争うクラブの筆頭候補の一角と言っていい両者の対戦は熱く、大木監督の作戦勝ちになったと言える。
 まだ試合の流れが定まらない内にコーナーキックを獲得した熊本は、ショートコーナーから2度3度とシュートを繰り出すも弾かれる。こぼれ球を拾った21歳新加入のMF石川がシュートコースを見定めるやいなや迷わず右足を振り抜き、GKの頭上を超えて鋭く向こう側のネットを揺らした。15分には、右サイドから裏に抜け出したMF岡本が中に折り返したグラウンダーのボールを反対のサイドでこちらも新加入のFW谷口が押し込んで早くも追加点を決めた。その後も鹿児島の最終ラインからの展開にボールホルダーへの強いプレスで規制をかけミスを誘発し試合の主導権を握った。しかし前半の終わり近く、鹿児島のMF萱沼が出したボールに反応し、CBの裏を突いて牛之濵がドリブルで持ち込み、冷静に流し込んで1点差とした。鹿児島はハーフタイムに右サイドの入れ替えを敢行。MF萱沼、DF野嶽を下げ新加入のMF三宅、SBに田中を投入。三宅の果敢な仕掛けは鹿児島の攻撃を活性化させる。後半に入ってからは鹿児島が攻撃を仕掛ける時間が増え、ゴールを脅かす。しかし熊本は右サイドからのクロスに谷口が合わせ自身2点目を奪った。鹿児島は昨季から失点の原因であったクロス対応に課題を残した。その後は激しい雨の中一進一退の攻防が続いたが81分、いい位置でFKを得た鹿児島は、キッカーの田辺が直接ゴールを狙いに行ったところ壁の選手の手に当たってPKの判定。すぐに新加入のFW馬場がスポットにボールをセットし、右にしっかり蹴り込んで1点差とした。終了間際にもボックス内でボールを受けた三宅が倒れ込みながらシュートを放つも、昨季も出場がなく26歳にしてプロデビューとなったGK内田が全身を一杯に伸ばし掻き出す。鹿児島は新加入のFWジョン ガブリエルやDF青山を投入し後半は攻守に改善こそ見られたが、個々が着実にチームのやるべきことを遂行した熊本が大木新監督初陣を見事な勝利で終えた。

J3マガジンMOM:No.35 GK内山 圭 選手(熊本)