現代のサッカーでは、最終ラインを高い位置まで上げてコンパクトな陣形を保つという志向の戦術がよく用いられます。
個々の戦術の話はあまりしませんが、ハイラインは攻守にメリット・デメリットを当然もたらします。ボールを基本的に保持して攻撃したいチームが採ることが多いですよね。J1の横浜F・マリノスなどが採った戦術と言うことができるでしょう。ラインが高い分、中盤でボールを奪われ背後の広大なスペースに走った相手FWにボールを出されると一気にピンチになりかねません。
そういったチームはそういう事故的な失点をある程度折り込みつつ、点を1点でも多く取って勝とうという意図があります。

…「オフサイドをとられた数」はスタッツ上でもよく現れますが、逆に「相手からオフサイドを奪った数」というスタッツは何を示すでしょうか?
ハイラインを敷くチームにとってボールロスト時にオフサイドを取れるか否かは失点に直結する事項です。相手チームが裏を狙うチームかどうか等にも影響されるでしょうが、このスタッツが多いチームは「ラインを高く設定してうまくオフサイドを取れている」と言えるのではないでしょうか。

では、第7節までにJ3の全チームが相手から奪ったオフサイドの数が多い順に並べました。

1位:鹿児島ユナイテッドFC….35回
2位:Y.S.C.C.横浜……………...34回
3位:いわてグルージャ盛岡…..29回
4位:カターレ富山....................24回
4位:ガンバ大阪U-23………….24回
6位:カマタマーレ讃岐............15回
7位:アスルクラロ沼津............13回
8位:ロアッソ熊本...................12回
9位:ヴァンラーレ八戸............11回
9位:AC長野パルセイロ...........11回
11位:福島ユナイテッドFC......9回
11位:藤枝MYFC......................9回
11位:FC岐阜...........................9回
14位:ブラウブリッツ秋田......7回
14位:セレッソ大阪U-23.........7回
16位:ガイナーレ鳥取.............5回
17位:FC今治..........................4回
18位:SC相模原......................3回


ということで、7試合で35回、1試合平均5回のオフサイドを奪った鹿児島が1位になりました。
確かに今季は鹿児島のラインは高く、よくオフサイドになっているイメージがありました。
次いでYS横浜や岩手と続き、最も少ないのは相模原の3回となりました。


ついでに、第7節までの失点数で並び替えてみましょう。
カッコ内は上のオフサイド奪取数での順位です。

1位:Y.S.C.C.横浜(2).........................17
2位:いわてグルージャ盛岡(3)..........15
2位:ガンバ大阪U-23(4)....................15
4位:藤枝MYFC(12)..........................14
5位:セレッソ大阪U-23(15)..............13
6位:鹿児島ユナイテッドFC(1)........12
6位:カマタマーレ讃岐(6)................12
8位:ヴァンラーレ八戸(9)...............10
8位:福島ユナイテッドFC(11).........10
10位:カターレ富山(5).....................9
11位:ロアッソ熊本(8).....................8
11位:アスルクラロ沼津(7)..............8
13位:ガイナーレ鳥取(16)............... 7
13位:AC長野パルセイロ(10)...........7
13位:SC相模原(18)..........................7
16位:FC岐阜(13).............................5
17位:FC今治(17).............................4
18位:ブラウブリッツ秋田(14)........ 1

6位までにオフサイド奪取数1位〜4位のクラブが集まっており、ラインを高く設定しているぶんが失点に直結している可能性を指摘することができるでしょう。
逆に、失点数の少ない方には鳥取や相模原、今治などオフサイド奪取数の少ないクラブが集まっており、守備時はラインを下げて裏を取られないような守備を敷いているとみることができるかもしれません。


ただ、ここまでのところ鹿児島ユナイテッドFCやカターレ富山は第7節までに14得点とリーグ2位の得点を数えるものの、岩手などはオフサイド奪取数上位クラブは失点の割に得点が少なく、まだうまくハマっていない状況と言えます。このような戦術のチームは得点が取れないと苦しくなります。
ただ鹿児島や富山も勝ちきれない試合が少なくなく、さらに相手を圧倒するような内容が求められると言えるかも知れませんね。

ちなみに、1試合平均で「最もオフサイドを取られている」クラブはFC今治でした。それだけ裏への意識の高いFWがいるということも言えるかも知れませんが、1試合平均3.7回のオフサイドを取られています。
確かに、オフサイド奪取数1位の鹿児島と最下位の今治の試合では、今治が8回ものオフサイドを取られていました。


まだ第7節でリーグの大勢も定まってはいませんので参考程度で見ていただければと思いますが、データをもとに見てみるのも面白いかもしれませんね。


(オフサイドの数はあっても『オフサイド奪取数』をまとめたスタッツが中々無いので全部数えました。確認はしましたが間違っている可能性も無くはないので参考程度にお願いします)